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社会保険や労働保険って何?

社会保険や労働保険って何?

今回は、社会保険と労働保険について説明します。この二つは別の保険制度です。
社会保険と労働保険は、日本の公的保険制度の中で重要な役割を果たしていますが、それぞれの目的や内容、加入条件には大きな違いがあります。
※ここでは、狭義の社会保険を説明します。広義の社会保険には、労働保険を含みますが、今回の社会保険の説明は前者とします。

社会保険とは?

社会保険は、主に健康保険、介護保険、厚生年金保険の3つの保険制度を指します。これらの保険は、病気や業務外の怪我、高齢によるリスクに対して生活を保障するためのものです。
それぞれについて見ていきましょう。

①健康保険

目的:病気や業務外の怪我で病院や薬局を受診する際の医療費を一部負担することで、経済的な負担を軽減します。
内容:医療費の自己負担額は1~3割で、残りの部分を健康保険がカバーしてくれます。この後説明をしますが、出産手当金や傷病手当金などの制度もございますので、安心してお勤め先を休職することのできる制度もございます。
主な制度の内容を説明します。

  • 療養の給付:病気や業務外の怪我の治療費の一部を健康保険が負担します。一般的に病院や薬局に行かれた際に健康保険証を提示することで安価に医療を受けることができます。一番馴染み深い制度です。
  • 高額療養費:医療費が高額になった場合、自己負担額を超えた分が払い戻されます。
  • 傷病手当金:病気や業務外の怪我で仕事を休んだ際、給与の一部を日額で補償します。
  • 出産育児一時金:出産時に一時金が支給されます。
  • 出産手当金:出産のために仕事を休んだ際、給与の一部を日額で補償します。
  • 埋葬料(費):被保険者が亡くなった際に埋葬費用が支給されます。
  • 療養費:医療機関で全額自己負担した場合、後で一部が払い戻されます。
  • 海外療養費:海外で治療を受けた場合、その費用の一部が払い戻されます。
  • 訪問看護療養費:訪問看護を受けた際の費用の一部を健康保険が負担します。
  • 移送費:緊急時に医療機関への移送費用が支給されます。

加入条件:常勤の役員やそこに勤める75歳未満の方は、健康保険に加入する義務があります。ただ、報酬の支払いがあるか、加入要件となる勤務時間以上に勤務しているかなど加入条件はございます。自営業者やフリーランスの方は原則、国民健康保険に加入します。

②介護保険

目的:高齢者が介護を必要とする場合に、介護サービスを受けるための費用を一部負担します。
内容:介護が必要な方が安心して介護を受けられるよう、介護サービスの利用時に自己負担額を1割に抑えることができます。
加入条件:40歳以上のすべての人が加入対象となります。健康保険に加入している40歳以上65歳未満の方は合わせて介護保険料を納めることとなります。

③厚生年金保険

目的:老後の生活を支えるための年金を支給します。また、障害年金や遺族年金も含まれます。
内容:老齢年金、障害年金、遺族年金などがあり、65歳となった場合や障害を負った場合、または被保険者が死亡した場合に支給されます。
主な年金の種類とその受給条件について説明します。

  • 老齢厚生年金:65歳以上で、厚生年金の加入期間が1か月以上ある場合に受給できます。老齢基礎年金に上乗せして支給されます。二階建て部分と表現することも多いです。
  • 障害厚生年金:厚生年金加入中に病気や怪我で障害を負った場合に受給できます。障害等級に応じて支給額が決まります。
  • 遺族厚生年金:厚生年金加入者が死亡した場合、その遺族(配偶者や子供)が受給できます。受給額は被保険者の報酬に基づきます。
  • 特別支給の老齢厚生年金:一定の要件を満たす60歳から65歳までの間に受給できる年金です。報酬比例部分が支給されます。
  • 加給年金:老齢厚生年金の受給者に生計を維持されている配偶者や子供がいる場合に加算されます。
  • 在職老齢年金:60歳以上で働きながら老齢厚生年金を受給する場合、給与と年金の合計額に応じて年金が減額されることがあります。
  • 経過的加算:老齢厚生年金の定額部分に相当する額が加算されます。昭和31年4月2日以降生まれの方が対象です。
  • 振替加算:加給年金が終了した場合に、一定の要件を満たすと振替加算が支給されます。

加入条件:常勤の役員やそこに勤める70歳未満の方は厚生年金に加入する義務があります。自営業者やフリーランスの方は原則、国民年金に加入します。

労働保険とは?

労働保険とは労災保険と雇用保険を合わせていいます。労働保険料は労災保険料と雇用保険料を合わせて言います。それぞれの呼称が出た際はそれぞれの保険制度のことをいいます。

④労災保険

目的:業務上(仕事中や通勤途中)で怪我や病気となった場合に補償を受けられる制度です。仕事中の怪我や病気を業務災害と呼び、通勤途中のそれらに関しては通勤災害と呼びます。
内容:労災保険の主な給付内容は以下の通りです。

  • 療養(補償)給付:災害や通勤災害による治療費が全額無償となります。
  • 休業(補償)給付:療養のために休業した場合、賃金の一部が給されます。
  • 傷病(補償)年金:療養開始後1年6ヶ月経過しても治癒しない場合に支給されます。
  • 障害(補償)給付:障害が残った場合、その程度に応じて一時金または年金が支給されます。
  • 遺族(補償)給付:労働者が死亡した場合、遺族に年金または一時金が支給されます。
  • 葬祭料:労働者が死亡した場合、葬儀費用が支給されます。
  • 介護(補償)給付:障害(補償)年金受給者が介護を必要とする場合に支給されます。
  • 二次健康診断等給付:一次健康診断で異常が発見された場合の精密検査費用が支給されます。

加入条件:労働者であれば、役所への手続きを要することなく加入となります。

⑤雇用保険

目的:主に失業した際の生活を保障するための保険制度です。失業中の生活を支えるだけでなく、再就職を支援するための制度や育児休業や介護休業中の生活の支援も目的としております。
内容:雇用保険の主な給付内容は以下の通りです。

  • 基本手当:失業中の生活を支えるために支給される手当です。離職理由や被保険者期間に応じて支給額や待期期間が決まります。
  • 高年齢求職者給付金:65歳以上の離職者に支給される一時金です。基本手当の代わりに支給されます。
  • 再就職手当:失業中に早期に再就職した場合に支給される手当です。基本手当の残日数に応じて支給額が決まります。
  • 就業促進定着手当:再就職後、一定期間継続して働いた場合に支給される手当です。再就職手当を受給した人が対象です。
  • 教育訓練給付金:職業能力の向上を目的とした教育訓練を受けた場合に支給される給付金です。受講費用の一部が支給されます。
  • 高年齢雇用継続給付:60歳以上65歳未満の労働者が継続して働く場合に支給される給付金です。賃金が一定額以下となった場合に支給されます。
  • 育児休業給付金:育児休業を取得した場合に支給される給付金です。休業前の賃金の一定割合が支給されます。待機児童の問題などで保育園に入れない場合なども延長して給付金が支給されますので、安心して育児ができる環境となっております。
  • 介護休業給付金:介護休業を取得した場合に支給される給付金です。休業前の賃金の一定割合が支給されます。
  • 移転費:就職や転職のために引っ越しをした場合に支給される費用です。引っ越し費用の一部が支給されます。
  • 広域求職活動費:広域的な求職活動を行うための交通費や宿泊費が支給されます。求職活動のための費用を補助します。

加入条件:企業に雇用される労働者が対象で、一定の条件を満たす必要があります。例えば、週20時間以上働くことや、31日以上の雇用見込みがあることが条件となっております。

ここでは、社会保険と雇用保険の違いについて説明します。

1.目的の違い

社会保険:病気や怪我、高齢によるリスクに対して生活を保障することを目的としています。
雇用保険:失業中や休業中の生活を保障し、再就職を支援することを目的としています。

2.保障内容の違い

社会保険:医療費や介護費の負担軽減、老齢にともなう収入減に備えるための年金支給などが主な保障内容です。
雇用保険:失業中や休業中の人への給付金が中心です。

3.加入条件の違い

社会保険:常勤の役員や会社に勤める方が加入します。報酬や給与が支払われていることが必要です。その会社で一般的に勤務される方の週所定労働時間等が4分の3以上の方が加入対象となります。(従業員数が51人未満の事業所)
雇用保険:週20時間以上働くことや、31日以上の雇用見込みがあることが必要です。会社役員は原則、加入することができません。

社会保険と雇用保険は、それぞれ異なる目的と内容を持つ重要な保険制度です。社会保険は病気や怪我、高齢によるリスクに対して生活を保障し、雇用保険は失業中や休業中の生活を保障し、再就職を支援します。どちらも私たちの生活を支える重要な制度であり、適切に理解し利用することが大切です。

社会保険料と雇用保険料について説明します。
日本の社会保険制度は、国民の生活を支えるための重要な仕組みです。社会保険料と雇用保険料は、労働者と事業主が共同で負担するもので、給与から控除されます。以下に、社会保険料と雇用保険料の詳細を説明します。

社会保険料とは?

社会保険料は、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金などから構成されます。これらの保険料(子ども・子育て拠出金は除く。)は、労働者と事業主が半分ずつ負担します。

健康保険料

健康保険料は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合が提供する医療保険の費用を賄うためのものです。保険料率は都道府県ごとに異なり、毎年3月に見直されます。令和6年度の健康保険料率は以下の通りです。

  • 北海道:10.21%
  • 東京:9.98%
  • 大阪:10.34%
  • 福岡:10.35%

これらの保険料は、標準報酬月額に基づいて被保険者ごとに決定され、給与から控除されます。

介護保険料

介護保険料は、40歳以上の被保険者が対象となり、介護サービスの提供を支えるためのものです。令和6年度の介護保険料率は1.60%です。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、老後の年金給付を支えるためのものです。全国一律で18.3%の保険料率が適用されます。この保険料も労働者と事業主が半分ずつ負担し、給与から控除されます。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、子育て支援を目的としたもので、保険料率は0.36%です。全額事業主が負担します。

雇用保険料

雇用保険料は、失業時の給付や育児休業給付などを支えるためのものです。雇用保険料率は事業の種類によって異なります。令和6年度の雇用保険料率は以下の通りです。

  • 一般の事業:6/1,000(労働者負担)、9.5/1,000(事業主負担)
  • 農林水産・清酒製造の事業:7/1,000(労働者負担)、10.5/1,000(事業主負担)
  • 建設の事業:7/1,000(労働者負担)、11.5/1,000(事業主負担)

これらの労働者負担の保険料が給与から控除されます。

給与からの保険料控除は、毎月の給与計算時に行われます。具体的には、標準報酬月額に基づいた社会保険料が控除され、雇用保険料はその月の給与額に応じて計算した額を控除します。これにより、労働者は自動的に保険料を支払っていることとなります。事業主が労働者の給与から控除した保険料を一時的に預かり、社会保険料であれば毎月、雇用保険料であれば年に1回(場合によっては年に3回)を納めることとなります。

社会保険料と雇用保険料は、労働者と事業主が共同で負担するもので、給与から毎月控除されます。これにより、医療、年金、介護、子育て支援、失業時の給付など、さまざまな社会保障が提供されます。保険料率は毎年見直され、都道府県や事業の種類によって異なりますが、労働者の生活を支える重要な役割を果たしています。労働者も安心して働くことができる環境がこのように整えられているのです。

労働者は保険に自然と加入しているが、労働者としては保険料を納めない制度がございます。それが労災保険です。業務中の怪我のリスクなどが多い業種になればなるほど、この保険料率は高くなります。反対に怪我などのリスクが少ない業種であれば保険料率は低くなります。いずれにせよその労災保険料は会社が全額負担することとなります。
業務中や通勤途中に怪我をされた場合や病気となってしまった場合はお勤めの会社へ伝えましょう。

このように社会保険と労働保険はまったく別の制度となっております。
今回、お伝えしたことが少しでもお役に立てたのでしたら幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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