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従業員の入社手続きについて

従業員の入社手続きについて

今回は、従業員様が入社された際の諸々の手続きなどについてお話いたします。
入社に伴いやらねばならないことは多くあります。是非今回お伝えしたことが少しでも企業担当者様のお役に立てたのであれば幸いです。

入社手続きについて

入社される方の勤務時間によって関係する手続きも変わってきます。
主に絡んでくる公的保険や税金、提出先の役所は次の通りです。

公的保険名、税金名 書類を提出する役所
社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険) 年金事務所
雇用保険 ハローワーク(公共職業安定所)
住民税 従業員のお住いの市区町村の役所

ここでは、従業員数が50人以内の事業所を対象として説明します。

※ここでいう従業員数とは、「フルタイムで働く従業員数」と「一週間の所定労働時間および一月の所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の従業員数」の合計をいいます。
こちらをお読みになっている企業担当者様の事業所において50人以内に該当するかどうかの参考にしてくださいませ。

①週30時間以上勤務する予定の方

この場合、社会保険と雇用保険の加入手続きが必要となります。

社会保険には、4分の3要件といったルールがございます。一週間の所定労働時間および一か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方が加入の対象となります。原則、週30時間以上の勤務であれば、社会保険の加入が必須となります。週30時間以上は一般的な考え方であり、企業様によっては数字が変わる可能性もございます。(企業様のフルタイムで働く社員様と比較して週の所定労働時間が4分の3以上の数字としてください。)例えば、企業様によっては1日7時間勤務で週5日勤務の働き方をフルタイムの社員として採用しているケースもございます。そのような場合は35時間×0.75(4分の3)の26.25(26時間15分)が社会保険に加入するかどうかの基準の数値となります。

ここでいう社会保険は厚生年金保険と健康保険を総じて言います。健康保険には介護保険も含みます。介護保険は40歳以上65歳未満の方が入ることとなります。入社時点で従業員が65歳以上であった場合、介護保険はその事業所では加入しないこととなります。

手続きは、年金事務所に書類を提出することで社会保険に加入することとなります。提出書類は『健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届』といいます。被保険者となる従業員様の扶養に入る方がいる場合は『健康保険被扶養者異動届(国民年金第3号被保険者関係届)』も合わせて提出いたします。その際、年収要件や居住要件もございます。企業担当者様にて被保険者に対して確認を行い、該当するようであれば、こちらの届出を提出することとなります。

これらの申請により、後に企業様へ健康保険証が届きます。電子申請で行った場合はおおよそ7日~10日程度で健康保険証が届きます。被保険者である従業員様の保険証、扶養に入った方の保険証は届き次第、被保険者であるご本人様へお渡しください。

そして、週30時間以上勤務する場合は、雇用保険にも加入することとなります。企業様の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)へ手続きを行うこととなります。提出書類は『雇用保険被保険者資格取得届』といいます。申請を行いますと、『雇用保険被保険者証』が発行されます。書類を紙で窓口へ提出された場合は、切り分けることのできる用紙でハローワークが発行してくれます。雇用保険被保険者証は切り分けができるようになっておりますので、そちらを被保険者であるご本人様へお渡しください。電子申請で行った場合は、雇用保険被保険者証を印刷してお渡しするのでも問題はございません。

従業員に労災保険の加入手続きをしなくて良いのか、という質問を社労士として受けることが多くあります。結論からお伝えしますと労災保険の個人ごとの加入手続きは存在しません。社会保険や雇用保険のように従業員様各人の基本情報やマイナンバーを記載して労災保険に加入させる手続きなどは存在しないのです。入社した時点で労災保険に自然に加入するものと思っていただいて問題ございません。従業員様が業務中や通勤途中に怪我や病気を患った場合に初めて役所への手続きが必要となります。事業所の所在地を管轄している労働基準監督署へ書類の提出を行うこととなります。労災保険についてはまた別の機会で詳しくお伝えさせていただきます。

ここまでは社会保険や雇用保険などの公的保険の手続きについてお話をしましたが、税金に関しても届け出る書類がございます。絡んでくる税金は住民税です。原則、主で勤務する(給与額が多いメインとなる)事業所において住民税を給与から控除することとなります。給与から住民税を控除することを特別徴収といいます。納付書で住民税をコンビニや金融機関で支払う方法を普通徴収といいます。ただ、お勤めの方は原則、特別徴収にて住民税を納めることとなります。

入社された方がその年の1月1日時点(厳密には前年の1月1日となる場合もございます。)にお住いであった市区町村の役所へ『特別徴収切替届』(市区町村によっては名称が異なる場合もございます。)を提出する必要がございます。入社した時点で1月1日時点の住所と現在の住所に変わりがないかは確認するようにしましょう。それに応じて提出する市区町村の役所が変わってきます。特別徴収切替届を提出することで後に企業様へ『特別徴収税額決定通知書』が届きます。その通知書に基づいて該当の月の給与から住民税を毎月控除することとなります。

通知書に記載のある〇月分に関しては、〇月支給分で控除することをお勧めします。企業様にとっては特別徴収を行う上で納税のタイミングにおいても管理がしやすくなります。〇月支給分で控除した住民税を翌月10日までに納めることとなります。納付書を万が一紛失された場合などは該当の市区町村へ連絡してください。再発行として新たな納付書が届きます。

ここまでは週30時間以上勤務する方のケースを説明してきました。では、ここからは週の労働時間がもう少し短くなった場合のケースについて説明します。

②週20時間以上勤務する予定の方

社会保険の手続きは不要ですが、雇用保険の加入手続きは必要となります。①の中では述べませんでしたが、週の所定労働時間が20時間以上ですと、雇用保険の加入が必須となります。1か月以上働く見込みがあることも条件となっております。雇用保険は一つの事業所での加入となります。兼業・副業をされている場合はどこのお勤め先をメインとするか従業員様へ確認し、貴社がメインの事業所となる場合は雇用保険の加入手続きを忘れずするようにしましょう。
住民税特別徴収切替届に関しては①と同様です。忘れず手続きを行うようにしましょう。

では、週20時間未満の働き方の場合はどうなるのでしょうか。その場合のケースについて説明します。

③週20時間未満で勤務する予定の方

公的保険の手続きは絡みません。ただ、メインの事業所として貴社で勤務する場合は住民税特別徴収切替届の提出は必要となります。アルバイト、パートなどの名称に関わらず主で勤務する事業所においては提出が必要となってくる書類となります。

入社予定の従業員様に確認や回収が必要となる情報をまとめます。

  • 履歴書:個人情報などの基本情報(氏名、性別、生年月日、住所等)が記載されているため、極力ご用意をしていただきましょう。前職名や在籍期間の情報も記載があるため、雇用保険の手続き時に雇用保険被保険者番号が不明であっても前職情報で番号を追うことが可能となります。
  • 個人番号(マイナンバー):個人番号カードや個人番号通知カードにて番号を確認するようにしましょう。稀にカードを紛失された方もおります。そのような場合は個人番号を記載した住民票を用意してもらうようにしましょう。
  • 扶養控除等申告書:給与から控除する所得税(源泉徴収)の計算で必要です。提出された場合、所得税は甲欄で計算します。申告書を提出していない場合は乙欄で所得税を控除することとなります。
  • 1月1日現在の住所の確認:住民税特別徴収切替届を提出する際の提出する市区町村の確認で必要な情報です。年を跨いでの入社の場合は前年の1月1日時点の住所を確認する必要がございます。

イレギュラーなパターンで必要となる情報を一部ご紹介します。
(外国人を採用する場合)

  • 在留カード:在留資格の確認が必要です。入社される事業所で行う業務が在留カードに記載のある在留資格で働くことができるかは念入りに確認が必要です。就労制限のある在留資格もございます。その場合は就労資格証明書も用意してもらう必要がございます。週28時間までの勤務など就労できる時間数も限られている場合もあります。就労制限のある外国人を採用する場合は就労時間数にも意識するようにしましょう。ちなみに週30時間以上や週20時間以上勤務する場合は社会保険や雇用保険の取得手続きが必要であることに変わりありません。

(複数の事業所で社会保険に加入する場合)
『健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択届/二以上事業所勤務届』を提出する際に必要となる情報です。こちらの書類は、社会保険料の按分率を決定する書類でもあり、どの事業所の健康保険証を使用するかを選択する書類です。こちらの書類は被保険者が申請する手続きです。企業担当者様が書類を作成しても問題ございませんが、センシティブな内容を含んでいる書類でもあります。そのため、ご本人様に提出していただくよう企業担当者様から伝えてあげてください。その上で必要となる情報を列挙します。

  • 基礎年金番号:社会保険の取得手続きは現在マイナンバーが必要となります。ただ、入社される事業所に加えて別の事業所でも社会保険に入る場合(二以上勤務といいます。)は、基礎年金番号でも申請が可能です。基礎年金番号は年金の請求以外では影が薄くなってきてはおりますが、二以上勤務の方を採用される場合は確認を忘れず行うようにしましょう。
  • 別の事業所の名称、事業所所在地:届出書類で必要となる情報です。
  • 別の事業所の事業所整理記号、被保険者整理番号
  • 別の事業所で社会保険に加入した取得日
  • 別の事業所での社会保険の標準報酬月額:別の事業所様の企業担当者様にご本人様からの確認が必要です。

①②③のどのパターンにおいても手続きは不要ですが、毎月給与から控除する税金は住民税以外にも所得税がございます。給与から控除する所得税はメインの事業所なのか、そうでないのかによって計算が変わってきます。メインの事業所であれば甲欄、そうでない副業や兼業先の事業所であれば乙欄として所得税を控除することとなります。(丙欄といった控除もありますが、ここでは説明はいたしません。)

甲欄で所得税を控除する方は年末調整をその事業所で行う方となります。乙欄で所得税を控除する方はご自身で確定申告をすることとなります。甲欄、乙欄ともに毎月の給与から仮の数値(見込み額)として所得税を控除しております。本来納める所得税よりも多く控除していることとなります。よって、年末調整や確定申告で納めすぎた所得税などを戻す必要があるのです。納め過ぎはもったいないですからね。乙欄で所得税を控除する方に対して確定申告を漏れなくするよう企業担当者様からもお伝えするようにしてあげましょう。

このように勤務する時間によって手続きも変わってきます。企業担当者様に関してはそれぞれのケースを把握して手続きに漏れなどが生じないようにする必要がございます。

ここに列挙していないケースも当然発生します。イレギュラーなことは当然起こりえます。そのような場合はお近くの社会保険労務士に相談するか、顧問の社会保険労務士として契約することをお勧めします。身近にいつでも相談できる企人事労務のパートナーがいることは大変心強いと思います。是非、社会保険労務士に頼ってみてください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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